
「どぶろくは栄養があるらしい」「美容にいいと聞いた」——そんな話を耳にして、このページにたどり着いた方も多いかもしれません。
この記事では、どぶろくに「どんな成分が含まれているのか」を、わかりやすく整理してご紹介します。最初にお伝えしておきたいのは、これは「飲めば健康になる・きれいになる」と効果を約束する記事ではない、ということです。どぶろくはお酒(アルコール飲料)です。含まれている成分の事実と、お酒との上手な付き合い方を、落ち着いてお伝えしていきます。
どぶろくはアルコール飲料です。20歳未満の方・妊娠中/授乳中の方は飲めません。飲む場合も適量を心がけてください(詳しくは記事末尾の「飲むときの注意」をご覧ください)。
どぶろくに含まれる主な栄養素・成分
どぶろくは、米・米麹(こめこうじ)・水を発酵させた「もろみ(醪)」を、濾(こ)さずにそのまま味わうお酒です。清酒(日本酒)がもろみを「こす」工程を経るのに対し、どぶろくは基本的にこしません(清酒の中にも、粗くこして濁りを残した「にごり酒」があります)。こさない分、米由来の固形分や、発酵にかかわった麹・酵母などが残りやすく、これが白く濁ったとろみのある見た目のもとになっています。
濾さない分、米や発酵に由来するさまざまな成分が残ると考えられています。ただし、含まれる成分の種類や量は、原料・造り・商品によって大きく異なります。以下は「一般的にどぶろくに含まれるとされる成分」の整理であり、特定の商品の含有量を示すものではありません。
アミノ酸
米のたんぱく質が発酵の過程で分解されることで、アミノ酸が生まれます。アミノ酸は旨味のもとであり、どぶろくの味わいの深さにもつながっているとされる成分です。日本酒系のお酒に幅広く含まれることが知られています。
ビタミンB群など
麹や酵母がはたらく発酵食品には、ビタミンB群が含まれるとされています。どぶろくにも含まれると紹介されることがありますが、含有量は商品によって幅があります。
麹(こうじ)・酵母・酵素に由来する成分
どぶろくは、麹がデンプンを糖に変える「糖化」と、酵母が糖をアルコールに変える「発酵」が同時に進む並行複発酵でつくられます。濾さずに仕上げるため、これらにかかわった麹・酵母や、麹がつくる酵素に由来する成分が残ると考えられています。発酵のしくみについては、発酵とはもあわせてご覧ください。
米由来の成分(もろみを濾さないことで残るもの)
米そのものに由来する糖質や食物繊維、たんぱく質の分解物などが、濾さないことでどぶろくに残るとされます。「米を丸ごといただく」感覚が、どぶろくの栄養面での特徴としてよく語られます。
なお、レジスタントプロテイン・コウジ酸・α-EG といった個別の成分が紹介されることもあります。このうちα-EGやレジスタントプロテインについては、どぶろくを直接分析した研究例もありますが、分析例は限られ、商品全般に共通する含有量が確立しているわけではありません(成分を高めるために酵素剤を加えた醸造法での測定値なども含まれます)。コウジ酸については、どぶろくでの含有はさらに確認が必要です。いずれにせよ、成分が含まれることと「飲めば〇〇に効く」ことは別の話であり、本記事では効果の断定はしません。
「飲む点滴」とどぶろくは別もの(用語の整理)
栄養の話題でよく登場する「飲む点滴」という言葉。これは本来、甘酒(とりわけ米麹からつくる麹甘酒)の栄養成分を、栄養補給の点滴になぞらえた俗称です。医学上の名称ではなく、表現の起源や広まった経緯には、はっきりしない部分もあります。
ここで気をつけたいのが、甘酒には種類があることです。米麹からつくる「麹甘酒」はアルコールをほとんど含みませんが、酒粕からつくる「酒粕甘酒」には酒粕由来のアルコールが微量残る場合があります。そしてどぶろくは、これらとは異なるれっきとしたお酒(酒類)です。整理すると次の通りです。
| 種類 | 主な原料 | アルコール |
|---|---|---|
| 麹甘酒 | 米麹・米・水 | 通常は含まない |
| 酒粕甘酒 | 酒粕・水・砂糖など | 商品によって微量残る |
| どぶろく | 米・米麹・水 | あり(酒類) |
「飲む点滴」という言い回しは、このうち主に麹甘酒について使われてきたもので、お酒であるどぶろくには、この記事では用いません。なお、酒粕甘酒を選ぶ場合は、お子さん・妊娠中/授乳中の方・運転前の方などは、念のため商品のアルコール表示をご確認ください。
どぶろくと、にごり酒・甘酒・清酒との違いをもう少し詳しく知りたい方は、どぶろくとは もあわせてご覧ください。
どぶろくの糖質・カロリーの目安
「どぶろくの糖質は?」「カロリーは高い?」という疑問は多く寄せられます。
どぶろくは米を原料とするため炭水化物を含み、そのうち糖質の量は商品によって異なります。味わいも甘口から辛口まで幅があり、原料の配合・発酵の進み方・加水量などによって、糖質量やカロリーは変わります。そのため一律の数値を示すことはできません。正確な数値は、各商品の栄養成分表示などでご確認いただくのが確実です。
「カロリーが気になるならどぶろくを選べばカロリーオフになる」といった説明を見かけることもありますが、こうした断定はできません。お酒であること、商品差が大きいことをふまえ、飲む量とあわせて考えるのがおすすめです。
「美容によい」と言われてきた背景
どぶろくは古くから、滋養がある飲み物として親しまれてきた歴史があります。神事や祭礼(どぶろく祭り)と結びつき、ハレの日に味わう特別な一杯として大切にされてきました。「美容によい」という語られ方も、こうした「米と発酵の恵みをまるごといただく」というイメージから生まれてきたものといえます。
一方で、「飲めば肌がきれいになる」「シミが消える」といった効果を保証するものではありません。肌に関わるとされる個別成分の話も、その多くは酒粕や日本酒を対象としたもので、どぶろくそのものでの裏づけははっきりしていません。ここでは「含まれているとされる成分」と「文化として滋養が語られてきたこと」をご紹介するにとどめ、効果の断定は避けています。
そして何より、どぶろくはお酒です。美容や健康を意識する場面でも、飲みすぎればかえって体に負担となります。次の注意点をふまえて、無理のない範囲で楽しんでください。
飲むときの注意
どぶろくはアルコール飲料です。栄養や成分に関心がある場合でも、次の点を必ずお守りください。
- 20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。
- 妊娠中・授乳中の飲酒は避けてください。
- 飲む場合も適量を心がけ、体調や体質に合わせてください。飲みすぎは健康への負担になります。
- 飲酒運転は絶対にしないでください。
「体によさそうだから」とたくさん飲むのは逆効果です。あくまで嗜(たしな)む範囲で、味わいそのものを楽しむのがおすすめです。
まとめと関連記事
- どぶろくは濾さずに仕上げるお酒で、米・麹・酵母に由来するアミノ酸やビタミンB群などの成分が含まれるとされています。
- ただし含有量や個別成分の裏づけは商品・研究対象によって異なり、はっきりしない点も残ります。
- 「飲む点滴」は本来おもに麹甘酒についての俗称で、お酒であるどぶろくには用いません。
- 糖質・カロリーは商品差が大きく、一律の数値は示せません。
- 何より、どぶろくはお酒。適量を守って楽しみましょう。

